歯槽膿漏について

いわゆる歯槽膿漏は、慢性疾患で、おおくは短期間で進んだものではありません。 通常は長い期間をたどります。しかし、症状は重症になるまではたいしたこともなく、自覚していないことが多いのです。 きょう、何事もなく噛めたからといって、自分とは関係ないことだとは思わないでください。 明日から急に噛めなくなることだってあるのですから。
歯槽膿漏は歯茎だけの病気だと思っている方も多いのですが、歯茎だけの病気は歯肉炎といって、歯槽膿漏とは異なります。 歯槽膿漏は歯を支えているアゴの骨が溶けてなくなってしまう病気なのです。 ですから、最後には歯を支えきれなくなって、たとえ虫歯でない歯であっても抜けてしまうことがあるのです。
その原因についてお話すると、ひとつは歯に着いた付着物、すなわち歯垢、歯石、食べ物のかすなのです。 歯垢についてはその90%が細菌です。すなわち細菌の塊だと思ってください。 その細菌によってつくりだされる毒素によって、歯槽膿漏は進んで行くのです。 それらが取り除かれていることが重要であることはお解りになると思います。
もうひとつの原因は全身的な健康状態です。体力低下、過労、睡眠不足、様々なストレス、肝臓病、 腎臓病などの全身的な異常は大きく影響します。その他、噛み合わせ、悪習慣(寝方、噛みしめ、口呼吸)も関係します。
口の中という局所の健康と、全身的な健康の両輪が噛み合わないと歯槽膿漏は充分に防止出来ないのです。 全身的な健康管理はすぐに効果が現れにくいのですが、局所的な管理である歯磨きは短期間で効果を発揮します。 ですから歯槽膿漏は先ず歯磨きで防止して行くことが先決なのです。 歯磨きの仕方をとやかくいう前に、まず手を動かしてみることです。
ただし、歯磨きで注意してほしいことは、できるだけ研磨剤の多い歯磨粉を使わないこと、強く擦らないことで、 丁寧に一本一本清掃することです。自分の歯が何本あるか数えるように磨く、そういう気持ちが大切なのです。 それを守っていれば大きな失敗はありません。
人生を健康におくり、食の楽しみを十分に味わっていけるように、歯を大切に考えてみてください。 そしてそのために歯医者を大いに利用してください。